― 市街化調整区域でも“建てられる可能性がある”制度をわかりやすく説明 ―

■ 市街化調整区域とは?まずここから
不動産広告などで「市街化調整区域」と書かれている土地を見たことはありませんか?
市街化調整区域とは…
🏡 基本ルール:原則として家は建てられません
- 市街地が広がりすぎないようにするための区域
- 新しい宅地造成や住宅建築は原則禁止
- 建て替えも自由にはできないことがある
しかし、すべてがダメというわけではない んです。
■ そこで登場するのが「34条許可」
市街化調整区域でも、一定の条件を満たせば建物を建てられる例外制度があります。
その中の一つが 都市計画法34条12号(通称:12号許可) です。
■ 12号許可は、住宅が建てられる“特別な例外枠”
12号許可はわかりやすく言うと…
昔から人が住んでいる集落の中で、生活を続けるために必要な住宅については、建築を認めますよ
という仕組みです。
■ 12号許可で「住宅が建てられる」主なケース
✔ 1. 既存の集落の中にある土地の場合
長く続く集落の“延長上”にある土地なら、住宅建築が認められることがあります。
ポイント
- 「昔から家が立ち並んでいるエリア」に限られる
- 市町村ごとに「12号区域」として場所が決まっている
✔ 2. 自分や親族がその地域に住んでいる場合(自己用住宅)
認められる住宅は、ほとんどが 自己用住宅 です。
例:
- その地域に住んでいる親のそばに家を建てたい
- 以前住んでいた家を建て替えたい
- 親族が所有していた土地を引き継いで家を建てたい
※投資目的・転売目的の住宅はほぼNG。
✔ 3. 一定の敷地条件・生活基盤がそろっている
建てる土地が次のような条件を満たす必要があります。
- 公道に接している(接道義務)
- 排水・上下水道が確保できる
- 防災上問題がない
- 周囲の環境を悪化させない
「家を建てるために最低限必要な生活インフラが整っているか」が見られます。
■ 埼玉県の12号区域は“市町村によってルールが違う”
同じ埼玉県内でも、次のように違いがあります。
- 12号区域を広く指定している市
- 住宅のみ可能にしている市
- 12号区域自体がない市
- 産業用はOKだが住宅はNGの市
- 親族の居住歴が必須の市
つまり…
📝 「埼玉県」ではなく “市町村ごと” に必ず確認しなければいけない
これが12号許可の最大のポイントです。
■ 住宅を建てたい人が絶対に確認すべき4つのこと
① 土地が「12号区域」に入っているか
→ 区域外なら12号許可は使えません。
② 住宅が建築可能な区域か(用途制限)
→ 同じ12号でも「住宅不可」の地域もあります。
③ 自分(または親族)が住む家として使うか
→ 転売・賃貸目的は許可されないことが多い。
④ 技術基準(道路、排水など)を満たせるか
→ 接道や上下水道の問題で建てられないケースもある。
■ 12号許可で住宅を建てる流れ
- 土地が12号区域かどうか役所で確認
- 用途(住宅)が認められている区域かチェック
- 建築士・開発許可申請の専門家に相談
- 市役所と事前協議(これが重要)
- 12号許可申請 → 審査
- 許可が下りれば建築可能
※申請には時間がかかるため、土地購入前に必ず確認するのが安全です。
■ よくある誤解
❌ 「市街化調整区域でも安いから建てられるでしょ?」
→ 土地が安いのは 建てられない可能性が高い からです。
❌ 「昔住んでいた人の土地だから絶対OK」
→ 区域外ならNG。用途制限で住宅NGの場所もあります。
❌ 「建築会社が大丈夫と言っていたから安心」
→ 市町村ごとに細かいルールが違うため、
最終判断は 自治体の開発審査課 が行います。
■ まとめ:12号許可は“地域限定の特別な住宅許可”
- 市街化調整区域でも住宅が建てられる仕組み
- ただし 区域の指定+用途条件+生活インフラ のすべてが必要
- 埼玉県では市町村ごとにルールが異なる
- 「自己用」「親族」「既存集落」など条件が多い
- 土地選びの初期段階で必ず役所へ確認が必要