市街化調整区域34条11号

ここ川越市や鶴ヶ島市周辺には市街化調整区域といって原則、 
家や工作物の建築が禁止されている区域があります。


昭和45年8月25日に川越市は【市街化区域】【市街化調整区域】
区域区分(線引き)を実施しました。

市街化区域?市街化調整区域?
ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単に説明すると
市街化を促進する区域、つまり家やお店・工場等が建てられるような区域を
『市街化区域』といいます。
逆に市街化を抑制する区域で家はもちろん工作物を建ててはいけない区域を
『市街化調整区域』といいます。

今回はお客様から特に質問の多い『市街化調整区域』について
簡単に説明させていただきます。

市街化区域についてはまた別の機会にお話しさせて頂きますので
今回は割愛させて頂きますね。

原則として家や工作物の建築が禁止されている市街化調整区域ですが、
私の商圏である【川越市】や【鶴ヶ島市】【坂戸市】は広範囲に渡って
この市街化調整区域が広がっています。
例えば川越市おいては市総面積3分の2以上がこの市街化調整区域なんです。
つまり家を建てては駄目な土地が市の3分の2もあるんです

この市街化調整区域は田園風景や野山が広がる静かな土地に囲まれている
イメージが強いです。

そしてこの市街化調整区域の人気は意外と高く、市街化調整区域で家を
建てたいというお客様が
連日のように土地探しに来られます。

【誰でも建築できる土地】『34条11号』の土地あれ?
市街化調整区域は家を建てる事はできないのでは?
そう原則はだめです!

ところが原則あるところに例外があるのです。
建物等の建築が禁止されている市街化調整区域ですが
一定の許可が取れれば建築できるのです!
家が建てられる市街化調整区域の土地は以下の二つの
種類に分けられます。
(※他にも多数ありますがここでは省略します。)

【誰でも建築できる土地】『34条11号』の土地

【一定の人が建築できる土地】『34条12号』の土地

どなたでも建築が可能な『34条11号』と、一定の要件を満たさないと
建築許可の下りない『34条12号』があります。

誰でも家が建てられる34条11号はなんとなく分かる気がしますが、
一定の条件を満たさないと許可が得られない『34条12号』の土地って
どんな条件か気になりますよね。

ちょっと難しいのですが『34条12号』は「人的要素」といって
以下の条件を満たさないと開発許可は取得出来ないこととなっています。

都市計画法第34条12号建築要件とは

【6親等以内(配偶者は3親等)の親族】が【隣接する市町村】の
【市街化調整区域に20年以上居住している】
かつ
【許可を得ようとする本人が不動産を所有していない事】

が条件となります。

つまり以上の条件を満たす方のみ34条12号の土地に開発許可を
得られる可能性があるのです。

ならば誰でも建築ができる『34条11号』を探せばいいと
思うかもしれません。
ところが残念ながら『34条11号』の土地は現在ではなかなか
手に入らない希少物件となっています。

数年前まで余るほど売買されていた34条11号の土地ですが、
この開発申請が終了してしまったのです。
そのため34条11号の土地のほとんどは売却され家が建ってしまい
現在では絶滅状態なのです。

数年前までは非自己用といって我々不動産業者が開発分譲地を造り、
建売住宅として販売することができたのですが今ではそれが出来ません。

のんびりスローライフを楽しみたい方、家庭菜園ガーデニング、
ドッグランなどアウトドア派の方々に特に人気の高い市街化調整区域の
土地ですが、この34条11号の申請自体が終了してしまった今、
見つけ出すことはとても困難になっています。

たとえ34条11号の土地が見つかっても、様々な条件を
クリアしないと許可が得られません。

農業委員会・水利組合・道路状況など細かな制限がクリアされなければ
開発許可の取得は出来ませんので、34条11号の土地だからといって
慌てて購入したら開発許可取れなかったなんてこともあるかもしれません。

土地探しをされている多くのお客様が
「この34条11号を紹介してください」と言われるのですが・・。
現実はとても難しいですね。

ちなみに、市街化調整区域で開発許可を得る敷地最低面積は
200平米(約60坪)を下回ってはいけないという規定があります。

坂戸市・鶴ヶ島市においては300平米(約90坪)以上の土地面積で
ないと建築の許可が取れません。
(※一部線引前の除外もあります。)

都会の方には理解できないかもしれませんが、市街化調整区域は
買い物は不便だし、駅まで歩く事もできない遠い場所にあり、
車が無ければ生活出来ない土地がほとんどです。
下水などほとんど無く、合併浄化槽と呼ばれるタンクを敷地内に
埋めて処理をしなければならない土地ばかりです。

それでもこの市街化調整区域は人気があります。

奇しくもコロナ禍でテレワークが主流となり、益々市街化調整区域の
需要が高まってきています。
多くの企業が、都会のオフィスを地方に移転する動きもある中で、
マイホームの需要も都会から田舎へ移り変わっていく時代が
来ているのかもしれません。